FX・CFD・証券取引のことならマネーパートナーズ -外為を誠実に-

FX(外為取引)・証券のマネパHOME > マーケット情報 > FXコラム > 外貨投資 転ばぬ先の智慧 > 第891回 米利下げ時期後ずれとの見方広がる
外貨投資 転ばぬ先の智慧

最新の記事

第891回 米利下げ時期後ずれとの見方広がる

2024年04月01日

 先週は、日銀ならびに米連邦準備制度理事会(FRB)当局者らの言動が外国為替相場、とくにドル/円の値動きに一定の影響を及ぼしたことが印象に残る。
 まず、27日の午前中(日本時間)に田村日銀審議委員の発言が伝わり、ドル/円は一時的にも151.97円処まで急伸する場面があった。メディアは「34年ぶりの円安水準」などと大きく報じたが、実のところ田村氏は単に「当面、緩和的な金融環境が継続する」など、既に市場が織り込んでいる幾つかのワードを発しただけに過ぎない。
 ただ、かねて同氏に対して「タカ派寄り」との印象を抱いている市場にとって少々意外感があったことは否定できず、そのことを一つの“口実”にしてドル買い・円売りを仕掛ける向きがあった模様。仕掛ける側にしてみれば、力ずくでも152円台に乗せることができれば、そこから見える“青天井”の領域はオイシイわけで、今後も折に触れて仕掛けようとする向きが現れる可能性は十分にあろう。

 とはいえ、今のところ「152円の壁」を突き破るのはそうた易いことではなさそうである。152円手前のところでは「152円のノックアウト・オプションへの買い仕掛けと防戦売りの熾烈な攻防戦」が繰り広げられやすく、どちらの側もそう簡単に道を譲ってはくれない。
 加えて、こうした局面では、やはり本邦当局者らによる口先介入の動きも相応に騒がしくなる。実際、27日には財務省と日銀、金融庁が突如「国際金融資本市場に関わる情報交換会」なるものを開催し、一段の円売り・ドル買いを強くけん制。結果、ドル/円は一旦151円台前半の水準までその水準を切り下げている。
 その後は、週末まで151円台半ばの水準に上値の重さが感じられる状況が続くこととなったが、同時に下値の堅さも相当なものであった。その背景には、FRBのウォーラー理事やパウエル議長らのややタカ派寄りの発言が影響したこともあると見られる。ウォーラー氏は「最近のデータは今年の利下げの可能性が低いことを示唆している。急ぐ必要はない」などと述べ、週末にはパウエル氏も同様の考えを改めて示していた。
 29日には、市場の注目度が高かった2月の個人消費支出(PCE)デフレータが発表され、結果は市場予想通りであったものの、事前に数値の上振れを警戒する向きが少なくなかったことから、発表直後の市場は一旦ドル売りで反応。しかし、最終的にドル/円は発表前の水準まで値を戻している。

 目下のところ、ユーロやポンドに対してもドルの強さはハッキリと見て取れる。前回更新分の本欄で、筆者は「当面はユーロ/ドルやポンド/ドルの行方をいつも以上に注視しておきたい」と述べたが、実際にユーロ/ドルは週末にかけて1.08ドル処の節目や一目均衡表の日足「雲」下限をテクニカルに下抜ける動きとなった。
 「米利下げ開始の時期が後ずれするのでは」との思惑が市場に広がる一方で、「欧州中央銀行(ECB)や英中銀(BOE)の利下げ開始時期は近づいている」との見方が強まっているのであるから、ユーロ/ドルやポンド/ドルの上値が重くなるのも無理はない。
 印象深いのは、パウエルFRB議長が先週「米経済が非常に堅調なペースで成長し、労働市場も極めて強いという事実は、我々が利下げという重要な一歩を踏み出す前にインフレ率の低下についてもう少し確信を強める機会を与えている」と述べたこと。その意味でも、今週発表される2月の米求人件数や3月の米雇用統計の結果は注目度が極めて高い。
 今週のドル/円については、151.20‐50円のレンジから上下に放れた場合、そのトレンドを短期でフォローする算段で臨みたい。また、ユーロ/ドルについては1.080‐1.081ドル処から戻り売りで臨むのが基本スタンスになると個人的には考える。

(04/01 07:00)

このページの先頭へ

このページの先頭へ

プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。

FX取引(外国為替証拠金取引)、商品CFD取引、証券取引、および暗号資産CFD取引(暗号資産関連店頭デリバティブ取引)に関するご注意


【パートナーズFXおよびパートナーズFXnano】
パートナーズFXおよびパートナーズFXnanoは、取引時の価格またはスワップポイントの変動、およびスワップポイントは支払いとなる場合があることにより、売付時の清算金額が買付時の清算金額を下回る可能性があるため、損失が生じるおそれがあります。また、証拠金の額以上の投資が可能なため、その損失の額が証拠金の額を上回るおそれがあります。売付価格と買付価格には差額(スプレッド)があります。パートナーズFXおよびパートナーズFXnanoの取引に必要な証拠金は、取引の額の4%以上の額で、証拠金の約25倍までの取引が可能です。法人コースの建玉必要証拠金金額は原則、一般社団法人金融先物取引業協会が算出した通貨ペアごとの為替リスク想定比率を取引の額に乗じて得た額とします。為替リスク想定比率とは、金融商品取引業等に関する内閣府令第117条第31項第1号に規定される定量的計算モデルを用い算出します。但し、一般社団法人金融先物取引業協会が為替リスク想定比率を算出していない通貨ペアにつきましては、一般社団法人金融先物取引業協会と同様の算出方法にて当社が算出した為替リスク想定比率を使用しております。取引手数料は無料です。なお、外貨両替については1通貨あたり0.20円、受渡取引については1通貨あたり0.10円の手数料をいただきます。

【CFD-Metals】
CFD-Metalsは、取引時の価格またはスワップポイントの変動、およびスワップポイントは支払いとなる場合があることにより、売付時の清算金額が買付時の清算金額を下回る可能性があるため、損失が生じるおそれがあります。また、証拠金の額以上の投資が可能なため、その損失の額が証拠金の額を上回るおそれがあります。売付価格と買付価格には差額(スプレッド)があります。CFD-Metalsの取引に必要な証拠金は、取引の額の5%以上の額で、証拠金の約20倍までの取引が可能です。

【証券】
国内上場有価証券の売買等に当たっては、最大で約定代金の2.75%の手数料(消費税込み)、最低手数料は取引形態等により異なり最大で2,750円(消費税込み)をいただきます。有価証券のお預りが無く、一定期間証券口座のご利用が無い場合等は、別紙 ①「手数料等のご案内」に記載の 証券口座維持管理手数料1,100円(消費税込み)をいただきます。国内上場有価証券等は、株式相場、金利水準、為替相場、不動産相場、商品相場等の価格の変動等および有価証券の発行者等の信用状況(財務・経営状況を含む)の悪化等それらに関する外部評価の変化等を直接の原因として損失が生ずるおそれ(元本欠損リスク)があります。

【暗号資産CFD】
暗号資産は法定通貨(本邦通貨又は外国通貨)ではなく、特定の者によりその価値を保証されているものではありません。暗号資産は、代価の弁済を受ける者の同意がある場合に限り代価の弁済に使用することができます。暗号資産CFDは、取引時の価格の変動により、売付時の清算金額が買付時の清算金額を下回る可能性があるため、損失が生じるおそれがあります。また、証拠金の額以上の投資が可能なため、その損失の額が証拠金の額を上回るおそれがあります。売付価格と買付価格には差額(スプレッド)があります。暗号資産CFDの取引に必要な証拠金は、取引の額の50%以上の額で、証拠金の約2倍までの取引が可能です。取引にあたり、営業日をまたいで建玉を保有した場合にはレバレッジ手数料が発生します。

取引開始にあたっては契約締結前書面を熟読、ご理解いただいた上で、ご自身の判断にてお願い致します。

〈商号〉株式会社マネーパートナーズ(金融商品取引業者・商品先物取引業者)
〈金融商品取引業の登録番号〉関東財務局長(金商)第2028号
〈加入協会〉日本証券業協会 一般社団法人金融先物取引業協会 日本商品先物取引協会 一般社団法人日本暗号資産等取引業協会

このページの先頭へ

FX(外為取引)・証券のマネパHOME > マーケット情報 > FXコラム > 外貨投資 転ばぬ先の智慧 > 第891回 米利下げ時期後ずれとの見方広がる